小児の治療

 小児は成人とは異なる特徴を有する。男性に多く、アトピー性皮膚炎や喘息の合併率が高い。喘息やアトピー性皮膚炎に比べて低率ではあるが、自然治癒傾向も見られる。鼻のかゆみ、 鼻閉が強いため、鼻こすりや顔面運動、顔面の変化(眼の周りのクマ、鼻尖部に横に走るすじ)などがしばしば見られる。また、いろいろな感染症に罹りやすい事も注意しなければならない。

 薬物療法は成人に準ずるが、小児適応が認められている抗アレルギー薬はDSCG、フマル酸ケトチフェン、オキサトミド、トラニラスト、ペミロラストカリウムなど少ない。これら薬剤の投与量は小〜中学生は成人の半量が基準となる。抗ヒスタミン薬の中枢抑制性副作用は成人に比べて少なく、時に興奮状態を誘発することもある。局所への薬剤のスプレーは喘息ほど難しくないが、親の助けが必要な場合もある。鼻をかませた後に行うのが効果的である。点鼻用血管収縮薬は、5歳以下には使用しない方がよい。鼻用ステロイドは、成人では副作用がほとんど見られないが、小児では慎重に投与する。ステロイド薬内服は極力避ける。特異的免疫療法は6歳以上に行い、喘息合併症例には投与抗原量の調節を慎重にする。

 鼻腔内通気の改善のために行う手術は小学生以上とする。最近では、CO2レーザーなどを使用したレーザー下鼻甲介手術が小児例にも行われている。副鼻腔に陰影のある時でも、副鼻腔手術は適応ではないことが多い。副鼻腔陰影の自然軽快が高率に観察される。小児には早期診断、早期治療が大切である。

 滲出性中耳炎など、鼻のアレルギーが悪影響を及ぼす疾患にもアレルギーの治療を行う。逆に感染などの鼻症状を悪化させる疾患も併せて治療する必要がある。