骨粗鬆症の“粗”というのは「あらい」、“鬆”は「スが入る」という意味を表しています。つまり、骨が粗くちょうど大根にスが入ったように骨がもろくなって、いつ折れてもおかしくない状態になるのが骨粗鬆症という病気なのです。医学的にいうと、「骨量、つまり骨基質(主にたんぱく質)と骨塩(主にカルシウムとリン)の比率は正常の骨と同じだが、単位体積あたりの骨量の減少が異常に進行した状態」となります。骨の中に含まれるカルシウムの量は、生後、成長とともに増加し20〜30代にかけて最高となり、それ以降は次第に減少に向かいます。特に女性は、閉経後急速に骨量の減少が起こります。骨粗髪症は老化に伴って起こる生理的な骨の脆弱化が病気を引き起こすほどになった状態であり、その背景には加齢という自然要因があるのも事実です。しかし、日常でのカルシウム摂取量の不足や運動不足が、その発症に大きく関与しています。骨粗鬆症は若いうちに、できれば子供のうちからカルシウムをコツコツと骨に“貯金”し、同時に運動などで筋肉を鍛えておけば防ぐことのできる病気なのです。一方、たとえ50歳、60歳、あるいは70歳を越えていても、その年齢やその人なりの努力をすればそれなりの効果が得られる病気なのです。
骨粗鬆症のマイナス因子として、カルシウムの摂取不足、食塩の過剰摂取、喫煙、偏食、多量の飲酒、運動不足などがあげられます。骨粗鬆症の予防の2本柱は「食事」と「運動」です。「食事」はカルシウムの豊富な牛乳、乳製品、小魚、海藻、緑黄色野菜などを積極的にとりましょう。カルシウムの吸収をよくする為に、さば、いわし、さんまといった青背魚などでビタミンDを補給することも忘れてはいけません。また薄味調理を心がけ、食塩の摂取量を減らすことも大切です。「運動」には、筋肉を強化して骨を保護するという直接的な効果と同時に、骨へのカルシウム利用率を高めるという効果もあります。晴れた日に戸外でからだを動かせば、皮下でのビタミンDの合成も促されます。自分の体力や年齢に見合った無理のない運動を継続して行なう事が、骨粗鬆症の予防効果を高める運動のポイントです。