CT画像は多くの画像情報をもっていますが、情報をすべて1つの表示条件で示すことは不可能です。このため、胸部CTの画像を表示するためには通常2つの条件でフィルムに表示することが多いです。
1つは、縦隔や胸壁の軟部組織を中心に表示する縦隔条件(window level20~60,window width 300~400※)で、肺野は真黒に表示され、肺野の病変を詳細に見ることはできません。
もう1つは、肺野を中心に表示する肺野条件(window level -550~-700,window width1000~1500)であり、肺野の病変や肺血管がよく表示されるが、縦隔の軟部組織はすべて真っ白に表示され、縦隔軟部組織の病変を表示することはできません。
この他にも気管支や骨が見たいなど、観察したいものによりwindow levelとwindow widthを変えて表示する場合もあります。
※window level (WL) / window width
(WW)
一横断面の各画素はCT値が計算され、ある一定の範囲のみを16〜32階調の白黒画像として表示し、その範囲より上または下の値は白または黒の濃度として表示されます。この表示をするCT値の範囲をwindow
widthとよびその値の中央値をwindow levelと呼びます。
参考文献
酒井文和編著:新版 すぐに身につく胸部CT:秀潤社 |